ドイツ・ミュンヘン便り Ⅱ

 円虹でもおなじみのドイツ・ミュンヘンの様子を、美しい写真と共に現地の方々紹介するこのコーナー。「ミュンヘン便り」の容量がいっぱいになりましたので、こちらに引き継ぎました。

 

シュタルク・ビヤ(季節限定黒ビール)

謝肉祭ののち節制の日が続くが、ビールは酒ではなく滋養ある飲物とされ、僧院で醸造され飲まれてきた。ノッカーベルクで強い黒ビールが今年も売られ「僧の説教と音楽劇」という政治家を揶揄する催しをテレビで見て、アンデクスという1455年以来のビール造りの僧院まで出かけた。寺院内は謝肉祭のあと復活祭まで十字架に紫の布が掛けられている(写真)。ビールも最高。

2024年、ストライキでの開幕

 能登半島地震災害のお見舞いを申し上げます。ドイツは新年早々雪と、税優遇措置削減に反対する農業組合のトラクターデモでの交通妨害、鉄道機関士労働組合の3日連続のスト(写真)があったと思ったら24日からその鉄道が前代未聞の6日間ストに突入(5日目に翌日のスト中止を発表)、その後も空港の地上職員、パイロット、医療関係、鉄道ストなど絶え間が無い。皺寄せは市民に来ている。

アドヴェントに小さな礼拝堂で

たまたま古い礼拝堂への階段を上がったら、老婦人に、「貴女を覚えてる。ここを世話しているんでしょ?」と聞かれた。彼女は外の二つのベンチ一杯に供花や蠟燭を広げて掃除・手入れに忙しい。人違いとは思ったが、お供のワンちゃん(写真)の健気さに惹かれ一時間も手伝ってしまった。一人吟行は中止。

秋日の森の端に

 静かな森の端を歩いていたら大きな犬を連れた人と何度もすれ違う。そういえばこの先には大きな原っぱがあり、犬の飼い主たちが集まり、犬も遊んでいたことを思い出した。径の途中に真新しい長いロープが下がっているのが目に入った。良く見ると、誰が掛けたのかブランコだ。(写真中央)。

穏やかな秋

 

 今年の秋はいつまでも暖かい日が続いて、夏時間の終わる10月末まで太陽の光を堪能することができた。地球温暖化は北国の者には暮しやすさをもたらすのも事実で、もう一つ温暖化に対する規制に身が入らないらしい。そう言っている内に小さな島国は海に沈んで行き、貧しい国々が先進国の引き起こす災害をもろに被る。自然を愛する俳人の声は本当に小さい。

佳乃先生のミュンヘン俳句セミナー

 924日に皆が待ち焦がれていた佳乃先生のセミナーが実現した。日曜の午後早い時間だったのが幸いして、ハンブルク、ワイマー、フュッセンなどからもドイツ語圏俳人が駆けつけてくれ、Zoomだけでは味わえない和気藹々とした雰囲気に包まれた。先生の特選句の表彰式もあり盛り上がった。写真は当日夜、お着物をセーターに着替えられた先生と私の主人とでゆったりとバイエルン料理を味わった。

湖で吟行!

アウグスブルク句会では何年振りかで吟行に出かけた。動物園のすぐ近くのシュテンプフレ湖で、交通の便も良く大きな駐車場もある。湖のすぐ手前に子供が遊べる浅い川があり、当日も親子連れのグループで賑わっていた(写真)。ベンチで水鳥を眺めているだけで幸せになる不思議な湖で、皆に愛されている。(カラー写真は「円虹」HP「ミュンヘン便り」でどうぞ。)

ミュンヘンのリリックカビネット

「リリックカビネット」という詩の公益財団で多和田葉子とマリオン・ポッシュマン編集の「光のたおやかな境界」(日本現代詩の独語訳)出版記念の催しがあり、編集者2人とベルリン自由大学ヤヌリス准教授により作 品が原語、独語訳で読まれたが、翻訳は至難の業だ。ベルリン在住の多和田葉子は独語と日本語で文芸作品を発表し、芥川賞、ドイツのゲーテ・メダル、クライスト賞など数多くの賞を得ている。

時計職人の町フリードベルク

アウグスブルク句会には隣町フリードベルクの俳人が3人おり、ある時極上の手作りプラリネをいただいたのでそのお店を訪ねてみた。石畳の町のお勧め散歩コースを辿ると戦争だらけの歴史、また時計職人の町として栄えた過去が見える。ほぼ原形で残る市囲壁(1409年、写真)が語り掛けてくる。

五月のオペラ「班女」

バイエルン州立オペラ、芸術の家、バイエルン独日協会協賛での「そう、5月」という催しの一環として、三島由紀夫の能作品「班女」による興味深いオペラ(細川俊夫作曲、歌手、ダンサー)の総稽古を見た。会場の「芸術の家」(写真)はヒトラーの指示で造られた古典主義的建物で、柱列のポーチの天井に鍵十字が並んでいる。

 

 

春の長雨の合間に

「4月の天気」とドイツ語で言えば気まぐれな天気を指すが、今年の4月は26年来の寒さで雪、霙、霜も珍しくなく、雨量はバイエルンで例年の3倍以上だった。下旬にやっと薄日が差した頃散歩に出ると、写真の父子が戦艦の大きなプラモデルを抱えて通りがかった。池で初航海か。

マリオネット・オペラ

 リンダウの操り人形によるオペラ劇場でモーツァルトの「魔笛」を観た。音楽は録音を使い、100人ほどの聴衆の前での上演なのだが、人形使いの技術と拘りで登場人物の息遣いが聞こえる程、パミーナの傷心のアリアでは涙が出る程の魔法の世界だ。終了後舞台裏を見せてくれ、質問や撮影もできた。(写真は夜の女王)

天皇誕生日祝賀

在ミュンヘン日本国総領事の招きで天皇誕生日の祝賀がキュンストラーハウス(芸術家の家)広間で三年振りに開かれ、コロナ禍後の開放感で200人以上の各界の人が集合して再開を祝した。この建物はミュンヘンの芸術家の集う場として1900年に開館され、戦災、米軍占領、経営危機などを経て見事に復興された。

 

 

独日協会新年会

多くの催し物と同様三年ぶりにアウグスブルクとミュンヘン独日協会で新年会が開かれた。ドイツでは和太鼓が人気で、アウグスブルクでは地元の趣味の会が、150人の会員が出席したミュンヘン新年会では「雷鼓」というグループが登場して撥さばきを披露(写真)。その後和食と久しぶりの会話、情報交換などに満足した。

レジデンツのクリスマス市

 2022年はクリスマス市も3年ぶりに開かれた。レジデンツの中庭では屋台の他「赤ずきん」「白雪姫」などの場面が等身大に近い人形で再現される。イブの日のドイツ家庭の食事は主婦が楽をできるようにと大抵ポテトサラダとソーセージだ。翌2526日は祭日で鵞鳥のローストなどで正餐だ。

「おにぎりアクション」

 独日協会句会の兄弟分「日本語で話す会」で「おにぎりアクション」(おにぎりを作るか買って撮った写真を送ると、一枚で5食分がアフリカやアジアの子供たちに寄付される)を敢行。提案者が事前に調理してくれた食品とご飯で多くの楽しい作品が生まれた。

アウグスブルク、第200回句会

 2004年秋に当地の年配の姉妹の呼びかけで設立されたアウグスブルク句会はこの10月で200回を数え、有志から祝句、花束(写真)やリースを頂いた。この句会もコロナ禍の波を被ったが、メール句会で切り抜けた。活発で皆一言あり、討論が面白い。植物園の日本庭園での吟行も楽しみだ。今年の11月句会はミュンヘン句会との競詠となり、来年両句会の句が当欄に登場の予定だ。

オクトーバーフェスト再開!

 コロナ禍で2年間中止を強いられ、ビール業者だけでなく、ウエィターや移動遊園地の業者などにも大きな痛手だったオクトーバーフェスト。今年は何とか開催されたが、生憎と雨と寒さに祟られ訪問者数は期待を下回った。やっと最終日の103日に薄日が射した。どのテントもブラスバンドの音楽で満ち、戸外では、9月半ばの開催パレードに参加の6頭立ての馬車がまた出た(写真)。王子の結婚式の競馬に始まったこのビール祭には馬は重要だ。

中世の城、ブルーテンブルク

 同僚の家に昼食に呼ばれ、午後ブルーテンブルクという中世の城まで散歩した。川が二筋に分かれた間に立つ自然豊かな古城に1983年ミュンヘン国際児童図書館が市の中心から移転した。美智子皇后(現上皇后)が1993年にそこを訪問され、2019年には図書館の名誉会員に推挙された。